うまくいかない情報提供 体験談②

転職を希望していた医師の例をもうひとつ挙げておきましょう。

レジデントとしての期間も終わりにさしかかり、専門を目指すうえで、まずは情報収集をしようとその医師はコンサルタントを求めます。
そして、自分の専門である脳外科としてさらにステップアップできる勤務先を選びたいと考えていました。


フットワークを軽く持ち積極的に専門性の高い職場に行きたいと考える反面、あまり現在の環境は変えたくなくて、生まれ育ったその土地を愛しているという傾向も見られました。


コンサルタントは「あなたの一番の理想は技術的に高いところですよね」と積極的に全国の脳外科の良いところを紹介しましたが、生活とのバランスを考え、返事を渋っていると、「なぜ早く決めないのですか」「先生にとってはまたとないチャンスですよ」と追い討ちをかけられ、怖くなった彼はコンサルトの解消を申し出ました。


結果的に彼は自分の通った大学の系列の病院に転職し、そこで脳外科医としてキャリアを積んでいくことになりましたが、コンサルタントはうまく機能したとはいえません。

理想がひとつだけなんて人はいない

この案件で特徴的なのは、コンサルタントが「技術力の高い病院」という一点に固執してしまったところにあります。
もちろんその要素を全面的に出して転職活動をしていた彼ですが、実際問題として、ただそれだけの要素1点で突破していく人間というのはあまりいません。

多くの人に生活があり、家族があり、職場環境だって出来ればいい方がいいですし、将来を考えて少しでも貯金がしたいはずです。
そして何よりその人にとってとてもすごしやすい環境か、というのはその人との相性ですから、その人を知らないと話になりません。
こうした人間的な心情の変化や機微を、この担当コンサルタントは欠いていたといえるでしょう。

あいまいな希望をかなえてくれるコンサルタントは腕が良い

「要望を明確に」こうした言葉はコンサルの業界でよく聞かれます。
そして、それを実際にある程度はクライエントに求めていくことになるでしょう。
しかし、ひとつ絶対的なものをあげ、それだけでうまくいくなら、はっきりいってコンサルタントは要りません。

さまざまな複雑な状況の中で、その人にあったベストをその人と共に探し出していくのがコンサルタントだからです。
医師の募集において、こうした事態は少なからず見られ、コンサルの評判や評価を下げます。
適切に要望が汲み取れるかどうかは、その人の技術もそうですが、相性が合わなかったためにこうした結果を招くこともあります。

そして、こうした無駄は結果が出ない上に時間もかかったという印象しか与えません。
あいまいな要望でも親身になって受け、そして一緒に考えてくれるコンサルタントが優秀であるというのがこの最たるものです。